たまゆらなる僕らの想いを


二人の間で張り詰めていたものがほどけていく。

ナギとヒロの瞳から、悲しい色が消えていくのが嬉しくてたまらなくて。


「良かった」


これなら二人の関係はもう大丈夫だろうと胸を撫で下ろすと、二人もまた私に優しい微笑みをくれる。

……そう。

二人はもう大丈夫。

だけど、ナギが打ち明けた事実に、私はゆっくりと笑みを納めた。

ヒロだけじゃない。

私の存在も、ナギの事故の原因になっていた。

呼ばれて、そして今、私が島に帰ってきてしまって。

それがきっと、不必要にナギの魂を呼んで死に近づけている。

私が、ここにいるから、ナギが。

それなら──。

決めると、私は大きく息を吸って、ナギを見つめた。


「会いたいと思ってくれて、ありがとう、ナギ」


私を求めてくれて、呼んでくれて。

島に帰ってこれた私は、たくさんの優しさに触れて、強くなれた。

私を支えてくれたナギ。

私の大切な、生涯ただひとりの初恋の人。

< 237 / 262 >

この作品をシェア

pagetop