たまゆらなる僕らの想いを


精一杯、心のままに伝えると、どこか悲しそうに、けれど慈しみを滲ませて微笑むナギ。


「強くなったな。昔はさ、俺たちのうしろでモジモジしてたのに」

「ナギとヒロのおかげだよ」


昔と同じように、ナギが手を引いて、ヒロが背中を支えてくれたから。

ううん、それだけじゃない。

女将さんも、八雲君も、ヒロのお姉さんも。

私が踏み出すきっかけをくれた。


「この島に帰ってきて、二人とまた会えて、本当によかった」


感謝の気持ちを込めて声にすると、微笑むナギとヒロに微笑みを返して。

風に舞上がった桜の花びらに、どうか、どうかと、大切な人の幸せな行く末を請い願った。


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