たまゆらなる僕らの想いを


──そうして、翌日。

しんしんと降り続いていた雪は昼前にはすっかり止んで。

青く澄み渡る空の下、雪が積もり白く染まる景色の中、私は腰を折る。


「お世話になりました」


みなか屋の前には、御央家のみんな。

たつ君を抱き上げた旦那さんが優しい眼差しで頷いて、その隣に立つ八雲君は唇をへの字に曲げていた。


「八雲君、また来るね」


八雲君は、私が少し早めに帰ることが不満なのだと、さっきこっそり女将さんが教えてくれた。


「またって、いつ?」


尋ねられて、私は一瞬返答に迷う。

ここを早く離れるのは、不必要にナギを呼んでしまわない為で。

だから、ナギが目覚めれば春休みでも夏休みでも来ることは可能なのだけど……。


「えっと……受験もあるから難しいかもしれないけど、お母さんに相談して大丈夫なら来年の冬休みには」


二泊三日くらいでまたここに泊まりにくれたらいいな。

そう告げると、八雲君は渋々といった様子で頷いてくれた。

< 251 / 262 >

この作品をシェア

pagetop