たまゆらなる僕らの想いを


実はさっき、バスの中でもお姉さんからのメールを受け取った。


『今度来る時は新居に遊びに来てね。主人と待ってるわ』


それと。


『あと、うちの弟もいい男だから、お嫁に来るなら大歓迎です』


そんな冗談が添えられていて、私は苦笑しながら返信をした。

ぜひ遊びに伺わせてください。

その時はナギとヒロも一緒に。

現実になるようにと願いを込めて。

ヒロのことはさりげなくスルーして。

私は隣で「ここ、あったけぇ」と呟くヒロを見る。

彼がいい男なのは知ってるけれど。

それでも私は、ナギに惹かれてしまう。

昔も、今も、変わらずに。


「……なんだよ」


私の視線に気づいたヒロが、怪訝そうに眉を寄せる。


「ううん。来てくれてありがとう」


伝えると「ああ」と答えたヒロの声に、フェリーの入港を知らせるアナウンスが重なった。


「ナギのことは、何かあれば連絡する」

「うん……」

「お前も、何かあれば遠慮なく連絡しろよ」


ヒロの優しさに「ありがとう」とお礼を口にして。


「ねぇ、ヒロ」

「なんだ?」

「次にナギと喧嘩する時は私も混ぜてね」


少しおかしいかもしれないお願いをした。

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