たまゆらなる僕らの想いを


当時、私は、人口が一万人ほどの離島、【予渼ノ島(よみのじま)】に住んでいた。

住人は皆穏やかで、時間もゆったりと流れているような印象が幼いながらにも残っている。

今、毎日を過ごしているこの都会は電車もバスもひっきりなしに行き交っているし、少し歩けば欲しいものも手軽に入手できて便利だけど、他人に関心があるようでいて無関心な雰囲気がある。

その無関心さは、人付き合いが苦手な私にはちょうどいいのかもしれない。

けれど現在、その効果はあまり発揮されていない。

高校生である私は、一歩学校に入れば集団で過ごさなければならず、友人関係を築く必要があるからだ。

全員と仲良くする必要はないとわかっているし、実際仲良しなのは朋美だけ。

他の子たちとは特に深く関わったことはなく、少し目立つタイプの子たちとは挨拶以外では話したこともない。

自分でももう少しどうにかならないかと思う内向的なこの性格は、昔からのものだ。

母から聞いた話だと、私は生まれてからずっと人見知りがひどかったらしい。

家族以外と接する時は、母や父の後ろに隠れたりしながら、首を縦に振ったりして相手とどうにかコミュニケーションを取っていたとか。

保育園でも毎日親と離れるのを嫌がって泣いて過ごしていた私だったけど……。

そんな毎日を変えてくれたのが、ナギだった。


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