たまゆらなる僕らの想いを
想いを胸に勾玉に触れながら窓の外に視線をやれば、秋の夜空には綺麗な三日月が浮かんでいる。
……なぜ、あんな夢を見たのだろう。
もし朋美に話したら、私の想いが作り出したものだと笑うかもしれない。
それは大いにあり得るのだけど……。
なぜだか、さっきから落ち着かない気持ちが消えない。
ナギのことが無性に気になるのだ。
会いたい、と。
常に淡く胸の内にあった願いが強くなる。
私は足下に置いていたスマホを手にしてカレンダーを確認した。
今日は十一月十一日。
来月には冬休みに入る。
母に頼んで、冬休みの間だけ島に帰りたいと頼んでみようか。
きっと、彼氏とゆっくりと過ごせるし、ダメとは言わないだろう。
私も、最近よくこのアパートに訪れる母の彼氏に気を使わなくて済むし、用事なんてないのに出かけたりする必要もなくなる。
悲しいかな、友人の少ない私は交際費もあまりかからず、本屋のバイトで稼いだ貯金もそれなりにあるから、安い民宿なら二週間くらいは滞在できるはずだ。
バイトも今ならシフト申請提出に間に合う。
私はチラリとアンティーク時計を見た。
すでに時刻は新しい日を迎えている。
この分だと、母はまた朝帰りかもしれない。
相談があるとだけメールをしておくことにして、私はベッドに潜り込む。
そして、縋るように勾玉を手で包むようにしながら、瞼を閉じた。