たまゆらなる僕らの想いを
「が、頑張って自分で起きないと」
「目覚ましの音だと無理矢理起こされる感じがするんだよな。だから凛の声で起こされたいんだ」
ナイスアイデアだろと言わんばかりの言葉を返されて。
どんな意味で言っているのかと勘ぐってしまう。
あくまでも友人として、幼馴染として。
目覚ましより人の声がいいからという単純な理由なのかもしれないけど。
私達は異性なのだから、あまり軽く口にされても少し困るのだ。
まして、私はずっとナギに片想いしてきた身。
それは燃えるような恋心ではなく、静かに大切に温めてきたものだけれど、他意はなくとも想い人から優しくされたり、今みたいなことを言われると期待してしまう。
期待するのは、絞り出した勇気と同じで、空振りに終わった時の落胆が大きいから少し苦手だ。
「いっそ、島に引っ越してくればいいのに」
「えっ」
「凛も、都会よりこっちの方が向いてるだろうし。住むとこなら、俺んちを提供するしさ」
「そうすりゃ、凛も俺も幸せだろ?」なんて楽しそうに笑うナギに、鼓動が速度を上げていく。