たまゆらなる僕らの想いを
今しがた期待は苦手だと、軽口は困ると思ったばかりなのに。
そんなのはおかまいなしに、彼の笑顔が、言葉が、私の心をぎゅっと掴んで離さない。
ナギの一挙一動は、昔も今も、私の心を捕らえっぱなしだ。
「もう……からかわないで」
「いやいや、割と本気だけどな」
戸惑う私に、ナギは胡座をかいて後ろ手をつき微笑む。
「いつも思ってたんだ。運動会で活躍した時、修学旅行先で凛が好きそうなものをつけた時、悪ふざけが過ぎて、先生に追いかけ回された時だって思ってた」
茶色い瞳を優しく細めて、脳裏に離れていた時のことを思い浮かべて。
「今凛がいたら、どんな風に笑い合ってたかなって。どんな風に呆れて、どんな風に叱ってくれて、どんな風に、泣いてくれたかなって」
柔らかく吹いたひんやりとした風に乗せるように、言葉を紡ぐ。
「本当にさ、ずっと会いたいと思ってた」
ストレートな想いを。
慈愛に満ちた瞳を向けられて、思わず顔を隠すように俯いてしまう。