たまゆらなる僕らの想いを


私の気配に先に気づいたのは子猫の方だ。

ピンと耳を立て、背筋を伸ばし私を見つめる。

その視線を感じ取り、八雲君がこちらを振り返えると。


「やべっ!」


彼は奥二重の目を丸くし、私とソーセージと子猫の間を忙しなく見たかと思えば、ブンブンと大きく首を振った。

そして。


「こ、これは非常食を育ててるだけだからな!」


口にしたまさかの言い訳に私の方まで目を丸くしてしまう。

もちろん、それが嘘なのは百も承知だ。

でも、彼が餌をあげているのを言い訳するということは、隠さなければならない理由があるから。

だから今は八雲君の話に合わせることにする。

私の緊張が伝わらないように、彼が不安にならないように。


「その子、食べちゃうの?」


悲しげに眉を寄せ、首を傾げて問いかける。

すると八雲君は視線を泳がせた後、困った顔で子猫を見つめて。


「……食べない。食べるわけないだろ」


唇を尖らせて、声を零した。


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