たまゆらなる僕らの想いを
とにかく、許可は貰えた。
宿泊先も決まった。
あとは、これから行くバイト先でシフトを申請すればOKだ。
少し長めの休みをもらうので、相談が必要だとは思うけど、実はすでに先手を打ってある。
今日、昼休みにお弁当を食べながら、朋美に相談したのだ。
彼女は私と同じ書店でバイトをしている。
私が休めば当然朋美にも負担がかかるわけで。
それでも、ナギに会いたい想いが強い私は、彼女に理由を話した。
不思議な夢を見たこと。
それから寝ても覚めても妙に落ち着かない心地でいること。
だから、休みを利用して会いに行ってみたいのだと。
話を聞いた朋美は、猫のような可愛らしい目を柔らかく細めて、私の背中をバンと叩いた。
『行きなよ。凛が積極的に動くことなんて珍しいし、ナギ君と会うべきよ』
クリスマスも予定はないし、凛の分も頑張るよと言ってくれて、私は深く感謝したのだ。
いつか、朋美が困った時は必ず助けになると約束して。
そんな一連の流れを思い出していたせいだろう。
バイト先に向かう道すがら、視線を落とし気味だった私は前から歩いてきていた人に気づけなかった。
──ドン、と。
肩がぶつかって、胸元まで伸びた少し癖のある髪を揺らしながら慌てて顔を上げると、相手と視線が合った。