たまゆらなる僕らの想いを
【ワガママな想い】
茶色い座卓の上には一枚のプリント。
まだ東の陽が窓から差し込むうららかな時刻に、私はそれに視線を落としていた。
これは昨夜、ジューシーなローストチキンと苺がたくさん乗ったクリスマスケーキを堪能した夕食後、お風呂に向かう途中で八雲君に渡された自由研究についての説明が記載されたプリントだ。
もちろん、その場で一度目を通させてもらっているけれど、悩みながら再度眺めているところで。
私は「んー」と声を零し両手で頬杖をついた。
今回の自由研究は【自由】ではあるけれど、一応縛りがあるらしい。
その縛りとは、この予渼ノ島の特産品や文化等、島に関係するものをテーマにするというもの。
昨日、布団に潜ってからネットで検索してみたところ、特産品の種類は多くはないので、他の生徒とかぶりそうだなと予想。
一方、パワースポットが豊富な島なので、そちらの方面ではと思うも、小学校低学年の作るものとしては少し大人びてるかなと悩んで。
一晩明けて、朝食を済ませた後もこうしてプリントと睨めっこしていた。