たまゆらなる僕らの想いを
八雲君の声に気づいたヒロがこちらを見て、切れ長の目を丸くする。
「……二人で買い物か?」
ポスターを丸めながら尋ねると、八雲君が「自由研究の」と、私が手から下げているビニール袋を指差した。
ここにはさっき購入したばかりの画用紙や絵の具が入っている。
すると、ヒロは目を柔らかく細めて。
「そうか。頑張れよ」
八雲君の頭を大きな手でくしゃりと撫でる。
そして、私にも優しい声で「お前も」と肩を軽く叩いてくれた。
「うん。頑張るね。ヒロもお仕事頑張って」
「ああ」
そうして、またねと別れの挨拶を口にしようとしたところで、八雲君が誘う。
「ヒロ兄も一緒にご飯食べようよ」と。
「飯? これから昼飯なのか?」
「そうなの。ヒロに教えてもらった定食屋さんに行こうかと思ってて」
「ああ、だからみなか屋とは反対に向かってるのか」
「ヒロ兄、行けない?」
八雲君にせがまれて、ヒロは私に「いいのか?」と確認する。
初対面の人なら困るけど、ヒロなら大歓迎なので私が「もちろんだよ」としっかり頷いてみせると、ヒロはフ、と笑みを零して。
「聞いてくる。少し待ってろ」
装飾品を抱えて店の中へと入っていった。
それから──。