熟恋ージュクコイー

田中さんはいつも、私が空いているのを知っていたかのようなタイミングで連絡してくる。

今日だってそう。私の予定はない。

もう夕飯の下ごしらえもしてしまったし…生モノも買ってしまったから、断ろかな…

『せっかくなんですが…今日は娘と2人で夕飯を食べると思っていて、もう下ごしらえと買い物を済ませてしまってまして。お刺身を買ってしまったので、また別の機会にお願いします。』

すると、すぐに田中さんから着信があった。

『もしもし？』


「さくらさん、急にすみません。
今日、もし良ければ、うちに来ませんか？
車で迎えに行きますので、材料を持って。
さくらさんのご飯、食べてみたいです。」

『え…。』

驚いた。言葉が出ない…

「夕飯が終わったら、車で送ります。私はお酒は飲みませんし、昨日のようなことにはならないようにします。」

『じゃあ…せっかくの材料なので、一緒に食べましょうか！』

「やったー！！17時頃にお迎えに行きますね！」

やったー！って。
そんなに喜ばれると、こちらも嬉しくなる。

電話を切って、準備をした。