熟恋ージュクコイー
別れ際、

『なんかあったら助けるから。』

と名刺を渡した。

ありがとうね、と名刺を受け取る弥生の笑顔が、なんだか弱々しく感じ、いたたまれない気持ちになった。

短い間だったが、かつては夫婦だった。

弱っている彼女をみると胸が痛む。

じゃあね、と小さく手を振る彼女を、見送り家に帰った。

気持ちが重い。

弥生の事だ、連絡はきっと来ないだろう。

彼女は人に甘えられない。

心配しても仕方ないとは思いながらも、やはり気になった。
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