熟恋ージュクコイー
午後の予定を終えて、オフィスに戻った。

俺の経営する会社は俺のほかに、1人事務をしてくれる人を雇っている。

小野さんというおばさんだ。

彼女は前の会社でお局と言われていた女性で、長いこと旅行業界で仕事してきた人だ。

退職するらしいと噂を聞きつけ、我が社に来てもらえないかと説得した。

彼女はなんでも知ってる。

業界について本当に詳しい。

彼女の条件に出来る限り合わせた形で、来てもらえることになったときは、本当にありがたかった。

戻ったよ〜と小野さんに話すと、高木くんから電話があったと教えてくれた。

折り返し電話して、真野さんに会えたお礼もしたい。

すぐに電話をすると、すぐに高木くんが出た。

「田中さん、お疲れ様です。」

『高木くん、ちょっと出ててごめんね。』

「携帯に連絡しようかとも思ったんですが、そこまでの用事でもなかったので。
先日の件で詳しい資料をメールで送ったので、確認して欲しくて。それだけです。」

『ありがとう。これから確認するよ。ところでさ、この間はありがとう。』

「いえいえ、また行きましょうね!姉が突入してきてちょっと煩かったけど・・・」

『楽しいお姉さんだったよ。そして一緒にいた真野さんも。真野さんに会えて色々と気持ちが変わってね。高木くん、会えたのは君のおかげ。ありがとう。』

「え? 真野さんと何かあったんですか?」

『何もない。これから頑張るところ。』

「えぇ!田中さんが女性に対して頑張るって
初めて聞きました。」

『うん、離婚してから初めて』

「応援してますよ〜!うちの姉とかなり仲いいみたいだったから、なんでも協力しますね!」
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