熟恋ージュクコイー
落ち着け自分。まだわからないじゃないか。

と自分を励ましながら、話を聞き続けた。

「5年前に夫を亡くしたときには、もうこの先、恋愛も結婚もしないと誓っていました。子供達に申し訳なく感じていたし。。。
何より、亡くなった主人がいつも空から見守ってくれていると思っていたので、主人にも申し訳ないと感じていたんです。
そんな相手も現れないだろうと思っていました。でも田中さんとお話していると、なんだか笑い合えるって大切だなと感じるようになったんです。子供達ももう大きくなっていますし、私が一人暮らしになる日も、そう遠くない未来だと思っています。
それはそれでいいと思っていたはずなんですが、、、田中さんと一緒にたわいのない話をして、笑い合ったりしているとそういうのも良いなと思えるようになったんです。」

ん?!

なんか話の流れが予想とは違う。

もしかすると、これは良い流れじゃないか?

バッサリと振られる覚悟だった俺は、話し続ける真野さんを見ながら、目を丸くしていたと思う。

平常心、平常心…

と自分に言い聞かせながら。
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