熟恋ージュクコイー
ビールを飲み、真野さんは話を続けた。

「ご存知の通り、私はお酒も大好きで、この年で記憶をなくすような飲み方をしてしまうこともありますし、専業主婦を長くやってきているので、そこまで得意なこともありません。
そして、まだまだ、夫のことを忘れられません。子供達のこともとても大切に思ってます。
でも、田中さんとお話ししたり笑ったりする時間はとても楽しいのです。
でもそれでも良ければ、またたまに一緒に飲んでくれますか？
私もまだわかりませんが。。。恋になるかどうか、試してみたいと思っています。」

真剣に、本当に真剣に向き合って考えてくれた彼女が、愛おしくて仕方なかった。

まだ数回しか会っていない俺のことを、ここまで真剣に考え、それをちゃんと伝えてくれた彼女に、心から感謝した。

そして、さらに好きになった。

彼女は自分がどんなに魅力的く、わからないんだな。

嬉しくなり、思わず日本酒を頼み、ここまで真剣に正直に気持ちを打ち明けてくれたことに対して、俺からも真剣に、正直に全て打ち明けた。

こんな話、恥ずかしい以外の何者でもない。

でも勇気を持って話してくれた彼女。

まだ緊張で硬い表情の彼女に、安心してほしい。
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