熟恋ージュクコイー
そのまま待ち合わせの駅に向かう。

かなり早いけど、駅ビルで時間を潰しておくか。

駅ビルの中をぶらぶら歩いていると、本屋を見つけた。

入り口に並んでいる新刊のチェックをしていたら、中の方から声が聞こえてきた。

その声が、どうも真野さんに似ている。

お店の中に入って、どこから声がするのだろうと周りを見ていると、本棚の陰で真野さんと男性が話していた。

何となく声は聞こえるけど、何を話しているのかまでは、はっきり分からない。

ただ…はっきりと思ったのは、真野さんが他の男と話すのは嫌だということ。

心の中に湧き上がる嫉妬心をぐっと堪えて、その場を去った。
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