次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

廊下で繋いだ手と手が、実は椅子に座った今もなお繋がったままなのだ。

例えテーブルで隠れて向かい側に座る三人には見えなかったとしても、触れ合ったままでいることがリリアには恥ずかしくて仕方がなかったのだ。


「楽しく優雅に、今宵の食事を楽しんでくれ」


言いながら、オルキスは手をきゅっと握りしめた。リリアの身体はさらに熱くなり、鼓動も一段と速くなっていく。

オルキスの手がリリアからそっと離れたのが合図だったかのように、賑やかな晩餐が始まった。

金や銀のお皿に牛や子羊、七面鳥などの肉がたくさん並び、他にも魚や貝料理、見たこともない果物までもがふんだんに盛られている。

生まれてからずっと質素な生活を送ってきたリリアにとって、テーブルの上に広がる光景はまるで夢の中の出来事のように豪華すぎた。

最初こそ場に圧倒されてしまっていたリリアだったが、興味津々なグラシナとテガナ村の話を交わすうちに、徐々に緊張も解け始めていった。

時折真っ白なパンを口に運びながらグラシナに何度も頷き返し、アレフの失敗談に笑みをこぼしたあとは、グラシナに踊りましょうと強引に誘われたセドマが、気乗りしない様子であるにも関わらず上手にダンスをやってのけたことに唖然としてしまったりと、強張っていたリリアの顔が笑顔になっていく。


< 112 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop