次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「まぁ、第一王子と運命の乙女が仲良く街中を散歩していたら大騒ぎになるのは必至ですから、娘さんがなにか騒ぎに巻き込まれないかと気がかりなのは分かります……しかしオルキス様は隙のないお方ですし、一応俺も警護しますのであまり心配なさらないでください」
セドマはちらりとアレフを見てから、大きく息を吐いた。
「……ボンダナの予言した娘は、リリアだったと思うべきなのか? オルキス様は本当にリリアを気に入ってくれているのか?」
当人が傍にいるというのに無神経なことを口にしたセドマに、リリアは思わず眉根を寄せ、問いかけられたアレフもまた困り顔となる。
「オルキス様から言葉ではっきりと聞いた訳ではありませんので断定はできませんが……朝起きて様子をすぐに確認しに来てしまうくらい、リリアさんを大切に思っているのは確かだと、個人的には思います」
「……そうか」
「あぁでも。運命の乙女かどうかに関しては、リリアさんの気持ち次第ではないかと。リリアさんはどうなのです? 恋に落ちましたか?」
直球の質問に一気に頬が熱くなる。そして父のいる前では答え難いことでもあるため、リリアは無難に無言を選択する。