次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
やきもきする二人の視線を感じつつも、リリアは黙ったまま階段を下りていく。そのまま先頭をきって玄関口へと向かい始めたとき、遠くからアレフに声がかけられた。
廊下の奥からこちらに近づいてくる青年を見てアレフはセドマに「少しだけここで待っていてもらえませんか?」と申し訳なさそうに願い出る。
アレフが離れ二人っきりになったところで、リリアは緩く編み込まれた自分の髪に触れながら、セドマに切りだした。
「お父さんは、王様に……なぜ呼ばれたの?」
本当に聞きたいことは心の奥に残したまま、まずは気になったことを問いかける。
「いろいろ話がしたいのだろう。昔話だったり、これまで俺が何をしていたのかだったり、それから……」
そこでセドマは言葉を濁し、ちらりとリリアを見た。
その視線をしっかりと受け取ったリリアは、セドマが躊躇っているだろう言葉をあえて口にする。
「私の話だったり?」
言葉にしてしまえばもう止まらなかった。強い思いに突き動かされるままに質問を重ねていく。
「王様は私を見てひどく驚いていらした……それはどうして?」
「それは……」
「私がお母さんに似ていたから?」
リリアがずっと感じていたことをぶつけると、セドマは唖然とした顔で、動きを止めた。