次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

やきもきする二人の視線を感じつつも、リリアは黙ったまま階段を下りていく。そのまま先頭をきって玄関口へと向かい始めたとき、遠くからアレフに声がかけられた。

廊下の奥からこちらに近づいてくる青年を見てアレフはセドマに「少しだけここで待っていてもらえませんか?」と申し訳なさそうに願い出る。

アレフが離れ二人っきりになったところで、リリアは緩く編み込まれた自分の髪に触れながら、セドマに切りだした。


「お父さんは、王様に……なぜ呼ばれたの?」


本当に聞きたいことは心の奥に残したまま、まずは気になったことを問いかける。


「いろいろ話がしたいのだろう。昔話だったり、これまで俺が何をしていたのかだったり、それから……」


そこでセドマは言葉を濁し、ちらりとリリアを見た。

その視線をしっかりと受け取ったリリアは、セドマが躊躇っているだろう言葉をあえて口にする。


「私の話だったり?」


言葉にしてしまえばもう止まらなかった。強い思いに突き動かされるままに質問を重ねていく。


「王様は私を見てひどく驚いていらした……それはどうして?」

「それは……」

「私がお母さんに似ていたから?」


リリアがずっと感じていたことをぶつけると、セドマは唖然とした顔で、動きを止めた。


< 121 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop