次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「ご、ごめんなさい……あそこにいるのはボンダナ様かなって考えていて、それで誰かが後ろにいることに全く気づいていなかったら驚いてしまって」
リリアがそう弁明すると、侍女はぱっと顔を明るくさせ、にっこりと嬉しそうに微笑んだ。
「えぇ、そうです! ボンダナ様です! 実は私、ボンダナ様から言伝を預かり参りました。今、話をしておかねばならぬことがあるから来てほしい。あそこで待っていると」
「……今?」
「はい。宴の前に話しておきたいと仰っていました」
「……そうですか」
思わずリリアが、オルキスのいる部屋へと目を向けると、侍女は慌てて言葉を追加させた。
「それと、出来れば他の人には聞かれたくないとも言っておられましたが……どうなさいますか? 私が断ってきましょうか?」
ボンダナがそうまでして話しておきたいこと。それはまさに、今さっきセドマと話していたことだろう。
急な呼び出しに、何か良くない宣託を受けてしまったのだろうかとリリアは不安に駆られていく。
「いえ。分かりました。すぐに行きます」
「ありがとう」と最後に付け加えてから、急ぎ足で扉に向かう。