次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
しかも周りを見れば、アレグロだけでなくセドマとアレフも表情を強張らせていて、リリアは肩を落とした。
「……ごめんなさい」
叩いてしまったことを詫びるリリアの腰に手を回し、そっと引き寄せ、オルキスは軽く首を横にふる。
「いや。悪いのは俺の方だ。セドマを試すためにリリアを利用し、怖い思いまでさせてしまったのだから」
オルキスとの距離が一気に近づいたことに、リリアの頬が赤く染まっていく。
綺麗な顔を直視することが出来ず視線を足元へと落とすも、腰に触れたままのオルキスの手をどうしても意識してしまい、身体が硬くなっていく。
「なぁ、そう思うだろ?」
オルキスに問いかけられても、アレグロとアレフは微妙な笑みを浮かべたまま、何も言葉を返さなかった。
「すまない。許してくれるか」
許しを乞うオルキスの手に力が込められ、リリアの身体がピクリと反応する。
オルキスのもう片方の手が自分の髪の毛先を救い上げるのを目にすれば、自然とリリアの視線も上昇し、すぐにオルキスの深紅の瞳に捉えられた。
「リリア」
名を甘く囁きかけてきたオルキスの唇をリリアはぼんやりと見つめる。