次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

唸り声のように吐き出された言葉とともに、ボンダナを見据えるオルキスの表情が、より冷たいものになっていく。

外套の下、腰元に携えてある細身の剣にオルキスが手をかけたのを察知して、オルキスの横に控えていた青年が慌てて「まぁまぁ」となだめに入った。


「とめてくれるな、アレフ。あんな予言出しやがって、俺がどれだけ迷惑してるか徹底的に分からせてやる」

「オルキス様、落ち着いて下さい。気持ちは分かりますが、相手は国王が最も心を寄せている導師様ですゆえ」


目を細め、剣を抜きにかかろうとするオルキスを必死に止めながら、青年アレフは不満顔で自分たちを見ているボンダナに苦笑いする。


「ボンダナ導師もあまりオルキス様をからかわないでください。あなたが予言を出した直後から、その乙女はまさに自分の娘の事だとオルキス様を訪ねてくる者が大勢おりまして……中には先ほどのあなたのように、見ようによってはそう見えなくもないだろと強引に話を進めようとする輩まで出て来る始末で」


髪と瞳の色が予言されている色に近い娘を持つ貴族たちは、我先にとオルキスとの謁見を申し出、王太子妃の座を掴むべく躍起になっている。


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