次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
そしてオルキスが不敵な笑みを浮かべ、自分の唇をぺろりと舐めたことで、やっと我に返る。
オルキスに口づけされたのだと理解し、リリアは身をのけ反らせながら、震える指先で口元をおさえた。
続けて周りを確認し、息を止める。
傍にいる人々には気づかれずに済んだのだが、少し離れたところに立っているアレフにはしっかりと目撃されてしまったようだった。
アレフが顔を赤らめ、露骨に目を逸らしたことで、リリアの羞恥心に火が付き、オルキスの腕の中から逃げようともがき出す。
「いっ、いきなり何するのよ! しかも二度目だからね! 次こういうことをしたら、本気で怒るからね!」
しかしオルキスも簡単にはリリアを離さない。するりするりとリリアの華奢な腰に自分の腕を絡ませ、容易く引き寄せる。
「そうか。次が楽しみだな」
「オル……っ!」
声が徐々に大きくなりつつあったリリアの唇へと、オルキスは人差し指を押し当てて笑みかけた。
大人しくはなったけれど、顔を真っ赤にさせ悔しそうな顔をするリリアを解放し、オルキスは日差しを反射させながら穏やかに流れゆく小川へと顔を向ける。