次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

ボンダナの予言のあと、一番に城へとやって来たのがユリエルだった。

予言された娘はまさしく自分のことだと、誰よりも自分があなたの妻に、王太子妃にふさわしいと、強く訴えかけてきたのだ。

それに対しオルキスが渋い顔をしたのにも関わらず、すでにユリエルは我が物顔で城内や街を歩きまわっている。

花嫁の有力候補に敬意を示す民も多くいる中、街の娘たちはそんなユリエルの態度が鼻につくらしく、彼女がオルキスと結ばれるのは我慢ならないと悲痛の声を上げているのだ。

第一王子であるがゆえに、自分が次期国王の座に一番近いだろうことは、オルキス自身、子供の頃から感じていたことだ。

と同時に、ふさわしい男にならねばと努力を重ねてきたつもりでもある。

その一方で、セルジェルこそふさわしいという声が大きくなるようならば、その時は自分が一歩退き、弟が王位に就けばいいという思いも抱いている。

兄弟のどちらが王となろうともそれを運命と受け入れ、自分は自分の置かれた場所で与えられた定めに従い懸命に生きていく。そんな考えなのだ。

自然の流れに逆らうことなくここまで歩いてきたというのに、ボンダナの予言によって、オルキスの歩みは完全に止まってしまっていた。


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