君の優しい嘘。
僕と彼女は『指切りげんまん嘘ついたら針千本のーますッ!指切った!』
と一緒に言った。
言い終わった頃に彼女はまた僕を見つめ、
小さく「ごめんね、ありがとう」と言った。
僕は彼女が一体何について謝っているのか、
何について感謝しているのかがわからなかった。
夜の帰り道をただ静かに歩く。
歩く途中に隣を歩いてる彼女が
泣くのを堪えているのを見て
とても不思議な感覚になる。
無言の中、彼女は鼻をすすって
もうここまでで大丈夫だからと言った。
最後に「約束してくれてありがとう。…じゃあ、さようなら。」
と出逢いたての頃のようなとびきりの笑顔で
たったその言葉を言い残し、僕を置いて歩き出す。