彼氏売買所
真由はそう言うと、封筒をバッグへしまって階段を上がりはじめた。


あたしも慌ててその後を追いかける。


「ねぇ、この後買い物行かない?」


喫茶店スペースに戻って真由がそう声をかけてきた。


あたしは封筒が入っているバッグをかるく握りしめた。


新しく欲しいものは沢山ある。


だけど、それを買うのは両親の借金を返してからだ。


「今日はやめとく」


「そっか」


真由は残念そうな表情でそう言ったのだった。
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