彼氏売買所
☆☆☆

家に戻ったあたしは、夕飯の時間になるのを待って両親にバイトを見つけたことを報告した。


「どこに決まったの?」


お母さんのその質問に、ハンバーグへと伸ばしかけた手が止まる。


当然聞かれる質問だからちゃんと答えは用意してある。


「工場の手伝いだよ」


両親へ嘘をつくときには、ちょっとだけ声が震えた。


バレちゃいけないという気持ちが、緊張となって表れてしまう。


「工場?」


テレビに視線を向けていたお父さんが、こちらを向いてそう聞いて来た。
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