彼氏売買所
高校生で工場のバイトなんて、あまり聞かないからだろう。


あたしはすぐにポケットからチラシを取り出した。


これも予め用意していた物だった。


それは学校側が推薦しているバイト先で、学校から徒歩で通える文房具の工場だった。


工場と言っても制作は他の場所で行われ、出荷前の手伝いをする作業がメインになっていた。


このチラシを見つけた時に、すぐに使えると思ったのだ。


「へぇ、こんな所があったのね」


お父さんに渡したチラシを横から見て、お母さんはそう言った。


「うん。丁度いいかなって思って」


学校が推薦しているバイト先なら、2人も文句はないはずだ。
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