彼氏売買所
☆☆☆

今日はどんなラブレターが入っているだろうか。


そう思いながら足早に教室へと向かう。


いつか真由が言っていた、告白を断るなんてもったいないと言う言葉が、今のあたしには十分に理解できるようになっていた。


彼氏を作り、カップルのふりをして過ごして、喫茶店へ行くだけで数十万円が手に入るのだから。


高まる気持ちを抑えながら自分の席へ向かい、机の中を確認する。


けれど、そこには一通の手紙も入ってなかった。


脱力し、ため息と共に椅子に座る。


「今日は不発?」


途端にそう声をかけられて振り向くと、そこには真由が立っていた。


「驚かせないでよ」
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