彼氏売買所
「ごめんごめん。だけど愛って本当にお金が必要なんだね?」


真由の言葉にあたしは周囲を見回した。


幸いな事に今の言葉を聞いていた生徒はいないようだ。


「色々あるの」


あたしは適当に誤魔化して教科書を机の中にしまいはじめる。


「じゃあ、彼氏がいない今の期間はもったいないね」


真由にそう言われ、あたしは小さく頷いた。


実はあたしもそう思っていた所なんだ。


相手にはちゃんとカップルだと思い込ませないといけない。


だから常に彼氏がいる状態が好ましかった。


「いっその事、啓太郎と付き合っちゃえば?」


そう言われた瞬間、背筋に寒気が駆け抜けた。
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