彼氏売買所
「イケメンもいるよ?」


真由の言葉にあたしは箸を止め、お弁当から顔を上げた。


「あそこにいる男は社会人が多いから、売った時にもそこそこの値段が付くし」


「……カッコいい人、いるの?」


その質問に真由は躊躇なく頷いた。


ナンパスポットに行くような男にイケメンがいるとは思わなかった。


「あ、その顔はあたしの話を信じてないな」


真由がそう言い、スマホをポケットから取り出した。


「これ見て」


そう言われて画面をのぞき込むと、そこには真由と見知らぬ男性が写っていた。


紺色のスーツを着た優しそうな人。


顔の堀が深く、ハーフだとわかる。
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