彼氏売買所
☆☆☆

意図的にナンパされたことなんて今まで1度もないから、ただロータリーを歩くだけでも緊張してしまう。


「ねぇ、優里には本当のことを言わないの?」


歩きながらあたしは真由にそう聞いた。


優里へ誤魔化すのも、限界があると感じていた。


「話してもいいけど、優里が納得すると思う?」


そう聞かれると、なんとも言えなかった。


「あたしが愛にこのバイトについて教えたのはね、愛が可愛いからだよ」


そう言われてあたしは戸惑ってしまった。


「あたしと同じくらいナンパされてるし、告白もされてる。一緒にバイトができるからだよ」


真由の言葉にあたしはなんとなく理解できてきた。


優里に本当のことを言っても、優里自身が同じようにバイトできるとは思えない。
< 129 / 281 >

この作品をシェア

pagetop