彼氏売買所
すると真由がすかさず「なに? どっちでもいいならやめとくよ?」と、言ってくれた。


どっちかと言えば運転手の男の方がいいお金になりそうだと、真由も踏んだのだろう。


新型のレクサスは決して安くない。


「あぁ、うそうそ、君がいい」


男はニタニタと笑顔を浮かべて真由を見る。


「それならいいよ」


そう言って真由はスマホを取り出した。


あたしも負けてはいられない。


運転手もチラチラとこちらを気にして見ていたので、あたしは車の逆側へと移動した。


運転手の男はすぐに窓を開けてくれた。


「いい車だね」


自分から異性に声をかけることには慣れてなくて、ぎこちなくなってしまう。
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