彼氏売買所
☆☆☆

家に帰ったあたしはさっそく名刺を取り出していた。


相手の名前は西田瑛太(ニシダ エイタ)有名企業に勤めているサラリーマンみたいだ。


裏側に書かれている電話番号を見つめる。


ほとんど面識のない人に電話をするのは緊張して、少しだけ時間が必要だった。


なにも本当の恋人になるワケじゃない。


これはバイトなんだと思うと、ようやく勇気を出して電話をかけることができた。


『もしもし?』


少し怪訝そうな声が聞こえて来る。


あたしの番号を教えていなかったからだろう。


「もしもし、あの……」


『あ、もしかしてっさっきの?』


西田さんの声はすぐに明るい物へと変わった。


それを聞いてホッと安堵のため息を吐く。
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