彼氏売買所
あたしにキスの経験があるのは、告白してきた男が勝手に暴走したからだ。


それ以来、男を遠ざけ、嫌悪している部分もある。


でも、それは中学の頃の出来事だ。


あたしだって、いつまでも後ろを向いているワケにはいかないと気が付いていた。


「西田さんだっけ? あの人は真面目そうだし、大丈夫だと思うけど」


「そうかな……」


あたしも真由の意見には賛成だったけれど、やっぱり一歩踏み出せない。


「それなら、昼頃に彼氏を連れて喫茶未来に集合っていうのはどう?」


真由は閃いたようにそう提案してきた。


「昼間まで、それぞれでデートするってこと?」


「うん。時間にしたら1時間とか2時間くらいでしょ。それなら大丈夫じゃない?」


そう言われると、気持ちが軽くなって行く。


「そうだね。それなら大丈夫だと思う」


「よかった」


ホッとしたようにほほ笑む真由。
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