彼氏売買所
☆☆☆

それから校舎裏へと急ぐと、もういないと思っていた隼人がそこにいた。


隼人はしゃがみ込み何かをしているようだ。


その様子を怪訝に思い、あたしはそっと足を進めた。


さっき小雨が降ったせいで地面は更に緩くなっていて、ローファーが沈み込んでしまいそうだ。


舌打ちしたい気分だったけれど、真由の言うバイトの事は気になっていた。


「隼人君……?」


近づき、身を丸めている隼人へ声をかける。


隼人はビクリと震えて顔を上げた。


「あ、あれ? 愛ちゃん……?」


そう言い、また周囲をキョロキョロと確認する。
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