彼氏売買所
隼人の癖なのかもしれない。


「なにしてるの?」


そう聞くと、隼人は慌てて立ち上がった。


その手にはゴム手袋がはめられていて、足元には透明なゴミ袋が置かれている。


ゴミ袋の中にはコケが詰め込まれていた。


それを見てあたしは瞬きを繰り返す。


「さっき告白をした時に、この辺のコケが気になってさ」


隼人はそう言い、ゴム手袋を外して頭をかいた。


「まさか掃除してたの?」


あたしの質問に隼人は頷いた。


「こういうのってきっと清掃員の人とかがやるんだろうけど、気になったらつい自分でやっちゃうんだよね」
< 16 / 281 >

この作品をシェア

pagetop