彼氏売買所
☆☆☆

夜中の3時。


外は静かで、家の中もなにも聞こえてこない。


暗闇の中、あたしはスマホの明かりを付けて部屋から出た。


足音を忍ばせてそっと階段を下りて行く。


もちろん、階段の電気も消したままだ。


一階のリビングへ入って行くと、隣の和室から両親のイビキが聞こえて来た。


毎日の疲れからか、そのイビキは大きい。


大切な書類がどこの引き出しにあるのか、だいたいのことは分かっていた。


あたしはテレビ台の引き出しを右から順番に開けて行った。


ここは両親しか使っていないスペースだ。
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