彼氏売買所
☆☆☆

翌日、あたしは制服に着替え、鞄を持って家を出た。


「行ってきます」


と声をかけた、いつもの朝。


しかしその足は学校には向かわずに、駅へと向かっていた。


鞄の中にはおよそ100万円の現金が入っている。


鞄を持つ手にいつも以上に力が入った。


駅へ到着すると、一旦ファミレスに入り時間を潰す事にした。


会社は10時から開始だろうから、それまで待つのだ。


鞄から教科書とノートを取り出して勉強をしていると、店員たちも不振がらない。


あたしは問題を流し読みしながらも、落ち着かない気分になっていた


祖父がお金を借りていた会社は闇金業者だ。


そんな場所に1人で向かうのだから、恐怖心が頭をもたげて来ても仕方がない。
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