彼氏売買所
階段にはオレンジ色の裸電球1つしかなく、周囲は薄暗さに包まれていた。


あまり掃除されていないのか階段の端にはホコリが積もっていたり、蜘蛛の巣が張っていたりする。


それだけで威圧的な雰囲気があったけれど、あたしは4階までたどり着いていた。


階段を上がって班畳ほどの踊り場があり、その向こうに○×金融のすりガラスのドアがあった。


息を吸い込んでドアをノックする。


少し間があってから野太い男の声が返って来た。


「誰だ?」


そう言いながらドアが開き、あたしは背筋を伸ばした。


緊張から背中に汗が流れて行く。
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