彼氏売買所
「なにこれ、現金?」


男は封筒の中を確認して目を丸くしている。


金髪の男も横から覗き込んで「おぉ~!」と、声を上げている。


「あたしが稼いだお金です。両親に渡してもきっと受け取ってくれないと思うから、直接渡しに来ました」


「なるほど、そういうことか」


ホスト風の男はそう言い、封筒を近くの棚に置いた。


「バイトでもしたのか?」


「……そうです」


あたしは視線をそらせて頷いた。


相手はきっとあたしのことも調べているだろう。


高校に入学してすぐにバイトを始めていたとしても、こんな大金稼げるわけがないと知っていて聞いているのだろう。


「どんなバイト?」


奥から金髪男がニヤニヤしながら聞いてくる。
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