彼氏売買所
「一カ月……?」


「そう。一カ月で全額支払え」


男の言葉にあたしは絶句してしまった。


今どのくらい借金が家にあるだろうか。


そこを把握していないから、簡単に返事をすることもできなかった。


「家の借金は……今いくらですか?」


カラカラに乾いた声でそう聞いた。


聞きたくないが、聞かないと前に進むこともできない。


今家の中で一番稼げるのはあたしなのだから。


「そんなことも知らずに来たのかよ」


後ろで金髪男がそう言って笑う。


それから資料を持って戻って来た。


「これがお前の家の借金だ」
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