彼氏売買所
蓮人の言葉に、一瞬思考回路は停止した。


この人は言った何を言っているのだろうかと、言われた言葉の意味が理解できなかった。


「そうすれば、借金は全部なかったことにしてやる」


「な……」


『何を言ってるの?』


そう言いたかったけれど、言葉にならなかった。


蓮人の目が真っ直ぐにあたしを射抜く。


整いすぎている顔に、釘付けになっていた。


「お前はいい女だ。付き合ってみてもいいと思った」


蓮人の言葉が右から左へと流れて行く。


お金を受け取ってもらえないとなると、あたしの選択肢なんてないようなものだった。


蓮人はそれを知っていて、そんな提案をしてきている。
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