彼氏売買所
そう言って苦笑いを浮かべる。


正直カップルらしいことなんてなにもしていない。


教室で会っても隼人は今まで通りあたしには近づかないし、挨拶すらしない。


時々視線がぶつかると、顔を真っ赤していて背けてしまうのだ。


だからあたしと隼人の関係を勘ぐる生徒は誰1人としていなかった。


「でも、全然それっぽくないよねぇ」


机に座って文庫本を呼んでいる隼人と、あたしとを交互に見て真由はそう言った。


「学校では全く変化なし」


そう答えてあたしは隼人からのラインを真由に見せた。


真由はラインを読みながら口元を緩めていき、やがてプッと噴き出した。


「なにこれ、こんなラインしてるの?」


そう聞かれてあたしはため息交じりに頷いた。
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