彼氏売買所
しかし蓮人はそのドアに手をかけ、手前に引いたのだ。


ドアはすんなりと開き、客人を知らせるメロディが店内に鳴り響いた。


「勝手に入っていいの?」


「ここは俺の事務所の管轄なんだ」


蓮人にそう言われ、ようやく納得した。


それならオープン前にお店に入る事も許されるんだろう。


あたしは薄暗い店内にそっと足を踏み入れた。


店の一番手前の棚にはオルゴール類がズラリと並べられている。


陶器でてきたメリーゴーランドや、木製の箱など、種類は様々だ。


「綺麗……」


お店全体がキラキラと輝いて見える。


店の奥へと進んで行くと、可愛い日用雑貨なども置かれているのが見えた。


洋服用のハンガーには、猫の顔がプリントされている。
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