彼氏売買所
「いらっしゃいませ」


女性店員の優しい声と、お店の雰囲気にホッと心が軽くなるような感覚がした。


開いている4人席へ座り、メニューを広げる。


軽食から丼ものまで扱っているようで、その多さに驚いた。


「ね、ここなら男の人でもお腹一杯になるでしょ?」


そう言う真由に川田君は渋々そうに頷いた。


値段もリーズナブルで、学生にも優しい。


運ばれて来た料理も美味しくて、学校の近くにこんないい喫茶店があったのだと喜んでいたところ、真由からラインが送られて来た。


あたしは目の前に座っている真由へチラリと視線を向けて、スマホの画面を確認した。


《そろそろバイトの本番だよ》


そう書かれているだけで、相変わらずバイトの内容は書かれていない。
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