彼氏売買所
眉間にシワを寄せてそう聞いてくる優里。


それはあたしも懸念している所だけれど、告白を断るのは別にあたしの責任ではない。


告白して受け入れられると思い込んでいる相手も十分に悪いと思う。


あたしはただ、指定場所に行って話を聞いただけだ。


「愛はいいよねぇ、モテテ。あたしにも1人くらい分けてよ」


優里がわざとらしく大きなため息を吐いてそう言った。


空からは小さな雨粒がふって来たところだった。


あたしは赤い傘を差し、優里を入れてあげた。


「もうすぐ夏休みだもんね」


あたしが言うと、優里は大きく頷く。
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