彼氏売買所
だけど、これもアルバイトの一環だと思えば徐々に慣れてきて、3度目の電話をした時には自分から『好き』という言葉を伝える事ができていた。


その時の晴の反応は本当に嬉しそうで、電話越しにも飛び跳ねて喜んでいる姿が見えるようだった。


一見すれば、誰がどう見ても良好な関係を築いているカップルにしか見えないだろう。


晴自身も、そう思い込んでいただろう。


だから、あたしがダブルデートに誘った時も何の躊躇もなく、二つ返事でOKしてくれたんだ。


《準備できた? デート緊張するな》


当日になり、晴から浮かれたようなメッセージが送られて来ても、あたしはなにも感じなかった。


ただ、晴にいくらの値段がつくのかがずっと気になっていた。
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